第25章 ゼレフ 「未来のかたち」
夜が明けてから森を歩んでいると少しづつ開けてくる。まだ朝日が登り始めたばかりの薄暗い藍色の中に灯りがポツポツと現れる。
集落だ…!
私はつい走ってその集落へと駆けていく。朝早くから井戸の水を汲んでいた1人の年老いた女性は私の足音に気づいたのか振り返って私を見る。
「あら…?」
彼女はふんわりとしたスカートにヘッドドレスを付けているお上品な風格だった。私は彼女に声をかける。
「あの、私…この森を抜けてきて…」
そう言うと彼女は目を丸くして井戸水が入った木の桶を置いて近づいてくる。
「あの森を?…大変だったでしょう。こんなに泥に汚れてしまって」
女性は私の頬に手を添えると顔についていた泥を拭ってくれる。彼女の手は暖かい。
「……私のお家に来なさい。狭いけれど、少し休んでいくには十分だと思うから」
彼女は微笑んでそう言うと水が入った木の桶を持って歩き出す。私は慌てて後ろをおいかけた。
彼女の家は木造の小さな家だった。周りには家を囲むように花壇が設置されていて鮮やかな花が咲いている。まるで絵本で見たような家だ。
「…ふふ、狭いでしょう?ごめんね」
そう言いながら彼女は扉を開けて家の中に入る。私は首を横に振りながら続いて中に入った。
暖かみのある家具に癒される。少し落ち着かないままキョロキョロしていると女性が手招きしてくれる。
「こっちに来なさい。お風呂、沸かしますね」
柔らかく微笑んでくれる彼女に頭を下げる。
「あ、ありがとうございます…!本当に…。あの、私はカナタって言います」
「あら、素敵なお名前ね。私はサウラ。少しの間ここで休んでいきなさい」
そう言って名前を教えてくれたサウラさんは私の背中を押して浴室に入れてくれる。お言葉に甘えてお風呂を借りることにした。
髪や体を洗い終えてすっきりした私が浴室から出ると棚には着替えの服が置いてある。サウラさんの気遣いに感謝しながら着替えを着させてもらう。
鏡を見ると慣れない格好に少し恥ずかしくなった。彼女と同じふんわりとしたスカート。ヘッドドレスは可愛らしいチェック柄だ。
「可愛い…。こんなの初めて着た」
浴室から出るとサウラさんは私を見て目を輝かせながら嬉しそうに微笑んだ。