第25章 ゼレフ 「未来のかたち」
あの夜が過ぎた今の私にはもう目的も無くてただぼんやりと森を歩いていた。
不思議とお腹は空かない。
ゼレフが向かった方向と反対に歩く。ただ足取りはずっと重くて。
森の中の静寂が私の心を蝕んでいく。風邪で揺れる葉音、鳥の鳴き声が聞こえる。それはゼレフから離れてくことを強調しているように感じる。切なさとやるせなさと寂しさが湧き出て止まらない。
「…どうしよ」
夜になって疲れが急に現れたらしく、私は木に背を預けて座り込んでしまった。
今までは無我夢中にゼレフに会うために歩いてきたけど、彼に拒まれてからはどうしたらいい?
今まで教授たちに囲まれて不自由なく暮らせていた私はこれからどうして生きていける?
途方もない不安から残り少ない魔力でプルを呼び出してみる。
「プーン…!」
声が聞こえたと同時にすぐに私の胸に飛び込んで短い手で抱きしめてくる。そして私の顔を見上げた。
私はプルを抱き上げて小さく呟く。
「ごめんね、プル。…ゼレフに最後会いたかったよね。全然考えられなかった……」
プルはふるふると首を横に振って私の頭を不器用に撫でながら慰めようとしてくる。
私は少し辛くなって笑いながら首を傾げる。
「私、これからどうしたらいいかな」
するとプルはパッと顔を上げて私の腕の中から出る。そして木の側から離れて上を指さした。私もつられてプルを追いかけて上を見る。
一等星のレグルスと二等星のデネボラ。
森だから星がよく見えて簡単に形が見える。
「………獅子座?」
そう呟いた瞬間私はレオとの約束を思い出した。
レグルスは他の星より、より一層に輝いて見えた。
私の目はまだ光を捉えていた。