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短編 フェアリーテイル

第8章 スティング 「貴方は貴方」


アルは目を丸くして息を飲んだ。そしてゆっくり頷いてしまった。私の手を強く握るアルの手は汗ばんでいた。


「…でも条件がある。カナタだけは本当に村に返してやってくれよ」


「ダメだよ!私にして!」


そう言うがもう私には見向きもせずに彼らはあの部屋にアルを連れていった。

アルを追いかけて私も鍵が開きっぱなしだったあの部屋に入ったは良いもののどうしようもできないもので息を潜めて見る。


「やめろ!…何すんだっ!!」


アルの手足に拘束具が付けられる。暴れているアルの後ろから見たことがない男の人が出てきた。その人は気持ち悪いくらい真っ赤な小さいラクリマを持っていて。

闇ギルドの人はアルの腕を少し切ってあのラクリマを埋め込もうとした。


「い゛ってえ!!……熱い!!何っ!?」


アルが大声で叫ぶ。私は震える足で全力で走った。アルが痛い思いをしているのに何も出来ないなんて嫌だ。アルは目を見開いて叫んだ。


「カナタ!何で……!」


その声を聞かずに私はアルの中にあったラクリマを強引に抉って取り出した。


「いっ……!」


「…っ、ごめん」


痛みに顔を歪めるアルに謝って私はラクリマを飲み込んだ。硬くて喉が痛い。


「カナタ!」


怒ったような焦ったような、闇ギルドの人たちが私を取り抑えようとして、それなのに私の顔を見て慌てて離れていく。
体が熱く熱く、ただ熱くなっていく。


ーーー


そこからあまり覚えてない。
物凄い爆音が聞こえたから様子を見に来た人が言っていた。私はただ佇んでいて、アルを抱えていたらしい。闇ギルドの人達は跡形もなく消えてしまったと。

その人に病院に連れていってもらった私達。アルはラクリマの弊害で今回の事件の記憶が無くなっていた。

ただ、こう言っていたらしい。


「気味の悪い化け物が俺らを助けた。見たことないくらいの怖い生物が」


それを聞いて私は不思議に思った。覚えてない。
そんなことあったっけ…、私も記憶が?

しかしそれは違うようで、私はあの日から何故か毎日酷い熱を出すようになった。
それと共に赤黒い痣も出るように。



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