第7章 クリスマスお題 ちぐはぐメリークリスマス!
残るはケーキをどうするか……
「後で誕生日ケーキにする?あ、でもロウソクがないか……今から急いで買ってくるかな」
人目につきにくい道を選んで術式を使えば短時間で戻ってこられる。
どこを通れば一番早いか、ルートを考えていると、恵が反論してきた。
「そこまでしなくていい。ケーキのプレート“メリークリスマス”だったし、ロウソク挿したらごちゃごちゃになるだろ」
「照れちゃって〜、そんなのロウソクと一緒に“ハッピーバースデー”プレートを買ってきて2つ並べて欲張りケーキにすればいいだけじゃない」
「今日は津美紀のクリスマスパーティーだろっ」
「私は恵のお誕生日パーティーとクリスマスパーティーが一緒にできると嬉しい!」
少し顔が赤くなっている恵をニヤニヤしながら眺める伽那夛、そして津美紀はますます豪華になりそうなパーティーに期待の眼差しだ。
「決まりね、じゃあ今から色々買ってくるわ。10分くらいで戻れると思うから待ってて」
「10分で!?」
津美紀と恵の声が重なる。
2人が驚くのも無理はなく、ここから最寄りのスーパーまでは片道で徒歩10分くらいかかる。
いくら伽那夛の方が背が高くてリーチが長いといっても買い物までして戻ってくるには絶対に10分では足りない。
疑問符ばかり浮かんでいる2人をよそに靴を履いて準備を整えた伽那夛はドアノブに手を掛けた。
「ふふん、私が本気を出せば新幹線よりずっと速いんだから。じゃあ行ってくるわ」
「い、いってらっしゃい……」
パタンとドアが閉まった後、津美紀は思わず恵に尋ねる。
「……さすがに新幹線より速いは嘘だよね?」
「でも伽那夛さんって俺達に嘘ついたことあるか?」
「ないけど……えっ、でも……」
「まぁ、俺も新幹線はねぇと思うけど」
「そ、そうだよね!伽那夛ちゃんの冗談だよね」