第7章 クリスマスお題 ちぐはぐメリークリスマス!
普段の食卓とは違い、丸いローテーブルの中央には数々のオーナメントに飾られ、天辺に星が輝く2つのクリスマスツリーが置かれ、その周りにご馳走が並ぶ。
マリネにミネストローネ、メインディッシュのジンジャーチキンソテー。
香りだけでも食欲をそそる料理を前に、この日をお祝いするための号令をかけた。
「メリークリスマス!」
勿論ご馳走の後にはケーキを出し、“Merry Christmas”と書かれたプレートを少しずらして隣に伽那夛が買ってきた“Happy Birthday”プレートを並べ、6本のロウソクを立てて恵の誕生日を祝い、照れた顔で火を吹き消す恵の隣で津美紀は満面の笑顔を浮かべていた。
「そういえば、2人はサンタクロースにどんなプレゼントをお願いしたの?」
「えっ?」
「あ、人に言ったら叶わなくなるのかしら?だったら言わなくていいわよ、もらえなくなるのは嫌だものね」
「神社の願掛けかよ」
伽那夛の言葉に甚爾が口を挟み、尋ねられた津美紀と恵はどう返答したものかとお互いの顔を見合わせている。
「全世界の子供達から手紙を受け取ってプレゼントを配達するなんて殊勝なお年寄りよね。私はそんな制度があるなんて知らなかったから、手紙を出したこともないけれど」
「……」
なんというか、純粋すぎる。
「あ、あのね、伽那夛ちゃん」
夢を壊すようで気が引けるが、このまま勘違いを放置というのも気の毒なので、津美紀がサンタクロースのプレゼントの仕組みを明かすと、
「……な、なんですってーっ!?」
伽那夛の大きな声が響き渡ったのだった。
―了―