第7章 クリスマスお題 ちぐはぐメリークリスマス!
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歌姫のアドバイスを思い出しながら伽那夛は盆栽の入っていた小包をガサガサと弄り、小さな袋を取り出した。
「さぁ、オーナメントもちゃんと用意してあるわよ。プラスチック製のものだと枝を傷めてしまうから、こっちで代用ね。2人とも好きなように飾りつけて」
それぞれに渡された袋を開けると、中から出てきたのは丸や星形、靴下の形に切り取られたフェルトだ。
どうやって作ったのか、綺麗な縞模様のキャンディケインもある。
「……クリスマスツリーってモミの木だろ」
「甘いわね、恵。“松は千歳を契り、竹は万代を契る”のよ。クリスマスツリーは永遠の象徴というからこの2つでも役割としては充分。それに松と竹なら、この先のお正月にも使えるわ!」
モミの木ではこうはいかないと大真面目に力説する伽那夛を見て、思わず津美紀がころころと笑った。
「ふふっ、あはは!すごい、どこにもないクリスマスツリーだね!」
想像していたものとはかなり異なっていて驚いたが、それよりも伽那夛が自分達のために選んでくれたということが嬉しくてたまらなかった。
早速フェルト製のオーナメント手に取って飾りつけていく。
嬉しそうな津美紀の隣では恵も五葉松の盆栽を飾りつけ始めていた。
2人の様子を見た伽那夛は満足そうに目を細めてキッチンに戻った。