第7章 クリスマスお題 ちぐはぐメリークリスマス!
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早速伽那夛がキッチンに入って料理の準備を始めると、またチャイムが鳴った。
「?、誰だろう?」
「来たわね」
首を傾げる津美紀の脇を通り抜け、伽那夛は玄関へ向かう。
ドアを開けると宅配業者がおり、サインに応じて小包を2つ受け取る。
これも伽那夛がこの日のために準備したものだ。
小包の中から出てきたのは竹と松の小さな盆栽。
そして伽那夛は自信満々にこう言い放った。
「これはクリスマスツリーよ!!」
「えっと?」
「は?」
「天辺に星を飾るのは子供にとってそれは大切な大仕事なのでしょう?2つあるから津美紀も恵もできるわよ」
クリスマスツリーには程遠い盆栽を前に得意げな顔をする伽那夛とは対照的に津美紀と恵はついていけずにポカンとする。
クリスマスツリーがモミの木だというのは津美紀も恵も知っている。
普段の買い物でプラスチック製のものが売られているのも何度も見かけた。
だがその中に竹や松の形をしたものが並んでいたところなんて見たことがない。
「こっちが姫竹でそっちが五葉松。姫竹は津美紀で、五葉松が恵かしら」
「???」
理解の追いつかない2人が宇宙を背負った猫のような表情になっているが、伽那夛は満足そうに何度も頷いている。
まさかツリーが2つあるなんて思いもよらなくて声が出ないということよね、
歌姫先輩に聞いておいて正解だったわ!