第7章 クリスマスお題 ちぐはぐメリークリスマス!
そこまで聞いて伽那夛も大体の事情を察した。
伏黒家にはあまりお金がない。
すぐ甚爾が賭博に使ってしまうからだ。
一応伽那夛も甚爾から体術を習う報酬としてお金を出しており、それを彼に使い込まれないよう訪問の度に津美紀達に現金で渡しているのだが、訪問頻度はたかが知れているのでそれだけでは慎ましい生活が限界。
津美紀の友人の言うようなパーティーやケーキには文字通り手が届かない。
しかしここまで聞いておいて「残念だったわね」で済ませる程伽那夛は冷酷ではないし、パーティーもケーキも自分ならなんとかできるはず。
「ふむ、成程ね……いいことを思いついたわ。その友達には羨ましくなるくらいの楽しいパーティーをする予定よって伝えておきなさい」
「で、でも……」
申し訳なさそうにする津美紀にウィンクする。
「任せて!津美紀のほっぺが落っこちちゃうくらいのとびっきりのご馳走を作ってあげる。もちろん美味しいケーキもね」
「いいの……?」
「いいに決まってるじゃない。いつも頑張ってるんだから、そのご褒美をもらわないと」
「うん!ありがとう、伽那夛ちゃん!」
そうして12月24日のパーティーが決まり、津美紀の前では格好つけていた伽那夛だったが、クリスマスにはとんと縁がない。
もちろんクリスマスパーティーに何をすべきかも分からない訳で……
「歌姫先輩っ、クリスマス・イブって何を祝う日なんですか?パーティーってどんなことをするんですか!?どんなケーキを食べるんですか!?何かしきたりとか作法があるんでしょうか!?」
「ちょ、突然どうしたのよ?」
次の日の任務で一緒になった歌姫に助けを求めたのは津美紀には内緒だ。