第17章 東京*
黒尾side
「こちらこそありがとうございましたっ!ギリギリまで引き留めちゃってすみません」
いろんな懺悔も込めて深く頭を下げると花澄ちゃんに似た優しい笑顔でイケメン兄さんも深く頭を下げる
「とんでもない!花澄から何度も君達との楽しそうな写真が送られてきて嬉しかったよ!また東京には来るから遊んでやってくれると助かるけど」
「もちろんです!」
声を張り上げるとその横で研磨もうんうんと頷いている
『黒尾さん有難うございましたっ!研磨も有難うっ!またね!』
イケメン美女兄妹が新幹線に乗り込んで
走り出すまで見送った
「で‥花澄に手だしたの?」
「っ?!」
新幹線が見えなくなるとボソッと隣で呟いた
「な‥なんで研磨くんはそう思ったのかな〜?」
「花澄みてたら分かる‥分かりやすいし‥2人の雰囲気がさっきとは違ったから」
恋愛には疎そうだと思っていた研磨の観察眼にギクリとする
「いや〜‥なんと言いますか‥」
「はぁ‥‥花澄が嫌じゃなかったんならいいけど‥」
ぽりぽりと頭をかくと深い溜息を吐く
「嘘、全然よくない」
「っ?!」
猫のような目でキッと睨みつけてくる
「‥負けないから」
他の人だったら絶対聞き取れない程の小さな声でボソッと俺への宣戦布告をするとすたすたと歩き出した
「えっ?!ま‥待って待って‥!」
あの研磨が?!
そんな事を言うなんてビックリして思わずつまづいて転びそうになった
小さい頃からずっと研磨と一緒だったけど
こんな事初めてで正直すっげー意外だった
「花澄ちゃん恐るべし‥」
「何?」
「なんも!帰るぞ研磨!」
「もう帰ってるし‥」
ぶっきらぼうに真顔で歩いていた研磨がふっと小さく笑う
「楽しかったな!夢の国」
早速待ち受けにした3人で撮った画面には嬉しそうな顔した俺達と花澄ちゃん
「まぁ‥たまには悪くないね‥」
肩を組むと少し眉を寄せながらも本気で嫌がってんじゃないのはすぐに分かる
こうして楽しかった俺達と花澄ちゃんとの1日が終わった