君 死 に 給 う こ と 勿 か れ 。【鬼滅の刃】
第1章 憐 れ な 少 女 。
鬼は、人としての生きる価値が見出だせなかった者がなると、そう親に教わった。
私は、鬼は憐れで救いようのない生き物だと知った。
鬼は、鬼の始祖である鬼舞辻無惨に血を分け与えられ、その数を増やしていった。
でも、時に"例外"も生まれる。
存在などしない方が幸せな者もいるのだ。
私の先祖は、昔は決して裕福な家ではなかった。
名字すら貰えない家柄だった。
しかしきちんと、代は受け継がれてきたのだ。
だけれど室町時代のある時、異変が起こる。
鬼の始祖である、鬼舞辻無惨が現れたのだ。
鬼舞辻は家の者を次々と殺し、一人の私の先祖の女性に子を孕ませ、その子を次期当主とした。
そして私の先祖に、月喰(つきばみ)という名字をつけ、服も宝石も住居も与えた。
つまり私は、鬼舞辻無惨…鬼の始祖の子孫なのだ。
月喰の一族は、性行為をすることで鬼の能力を受け継ぎ、人を喰らう鬼を喰った。
そして鬼を喰って身体能力の高さを維持した。
其の身体能力の高さで、鬼の頸に刀を振るい続け、鬼狩りをした。
だけど鬼の血は代々薄くなり、私はというと
鬼のように日光に当たろうとも焼けないし、
人間を捕食したこともない。
極論食事をしなくても生きていける。
鬼舞辻の名を言っても呪いで死ぬこともないし、感覚を共有されることもない。
だけれど鬼なのだ。あの忌々しい鬼の血が、私の身体に流れている。
そう思うだけで吐き気がするのだ。
お父様が言っていた。
"人は太陽 鬼は月"
・ ・
鬼___月を喰らう一族。
だから名字は月喰なのだと。
そして皮肉にも、刀を扱うときに使う呼吸は、昔からの決まりで、月の呼吸が使われる。
月の呼吸使わないなら、月喰の家の者ではない。と言われる程に、月喰家は月の呼吸の象徴になっていた。