第19章 【宿儺/コミュお題夢】氷霜の契り
彼女は、己の指を宿儺の口元へ運ぶ。
白く細い指。
それは、まるで供物のように差し出された。
「ならば、もっと深く……私の毒を知ってください」
彼が指を噛む。
鋭い牙が柔らかい肌を裂く感覚。
じわっと毒が流露した。
ゆめの血は、宿儺の舌の上で溶け、彼の全身に広がっていく。
絡み合う吐息。
口付けを交わす度、ぴりぴりと痺れるのは薄まった毒に侵されるからか。
互いの境界が曖昧になる。
現し世が静かに凍りついていく。
外では裏梅が雪を眺めながら、凍てついた銀世界の美しさに目を細めていた。
暁光が差す時分、宿儺は満足げに立ち上がった。
彼の背中には、ゆめが残した爪痕と、毒による紫色の斑紋が浮かんでいた。
それは、まるで蓮の花のような模様を描いている。
しかしそれも、数分後には反転術式によって消えてしまうだろう。
全て、元通りになる。
そう、何事もなかったかのように。
それでも、ゆめは知っている。彼の記憶の中に、自分の痕跡が刻まれたことを。
「裏梅、行くぞ」
「は。準備は整っております。藤原の一味と思われる者を退けましたが、さらに北の方角で妙な企みをしているようです」
裏梅は、相変わらず余計なことは口にしない。
彼は、主人の逢瀬を黙って見守る、忠実な従者。
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