• テキストサイズ

【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第19章 【宿儺/コミュお題夢】氷霜の契り




彼女は、己の指を宿儺の口元へ運ぶ。

白く細い指。

それは、まるで供物のように差し出された。



「ならば、もっと深く……私の毒を知ってください」



彼が指を噛む。

鋭い牙が柔らかい肌を裂く感覚。

じわっと毒が流露した。

ゆめの血は、宿儺の舌の上で溶け、彼の全身に広がっていく。



絡み合う吐息。

口付けを交わす度、ぴりぴりと痺れるのは薄まった毒に侵されるからか。

互いの境界が曖昧になる。



現し世が静かに凍りついていく。

外では裏梅が雪を眺めながら、凍てついた銀世界の美しさに目を細めていた。



暁光が差す時分、宿儺は満足げに立ち上がった。


彼の背中には、ゆめが残した爪痕と、毒による紫色の斑紋が浮かんでいた。

それは、まるで蓮の花のような模様を描いている。

しかしそれも、数分後には反転術式によって消えてしまうだろう。

全て、元通りになる。

そう、何事もなかったかのように。


それでも、ゆめは知っている。彼の記憶の中に、自分の痕跡が刻まれたことを。


「裏梅、行くぞ」

「は。準備は整っております。藤原の一味と思われる者を退けましたが、さらに北の方角で妙な企みをしているようです」


裏梅は、相変わらず余計なことは口にしない。 

彼は、主人の逢瀬を黙って見守る、忠実な従者。




/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp