第19章 【宿儺/コミュお題夢】氷霜の契り
死と生。
その両方が、彼女の手中にある。
術師としての誇りを失う時、その術式は自身さえ蝕むだろう。
そしてまた月日は巡り、訪れる禍津星を受け入れるのだ。
窓の外では、氷柱がまた一つ、陽の光を受けて溶け始めている。
滴り落ちる雫。
それは、やがて夜には再び凍るだろう。
冬の陽は短い。
平安の京に降る雪は、まるで天が吐息をこぼすように、静かに、容赦なく積もりゆく。
全てを覆い隠す、白く冷たい世界。
ゆめは、微かに残る宿儺の匂いを胸に抱き、しばらくの間思いを馳せていた。
「次は、魂まで痺れさせて差し上げましょうか」
彼女の呟きは、誰にも届くことなく、朔風(さくふう)にさらわれて消えていった。
その宣言は、宿儺に対する挑戦。
新たな毒を生成するたび、彼女は宿儺の記憶に刻まれ続ける。
何度でも、どこまでも、たとえ彼が全てを破壊し尽くしても、ゆめの毒の残渣だけは、彼の中に残り続けるだろう。
それが、平安の世を生きる彼女のよすが。
END.