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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第19章 【宿儺/コミュお題夢】氷霜の契り




「どうぞ。今宵の一杯は、冬の月夜のように肺を凍らせ、心臓を緩やかに止めるでしょう」



ゆめの声に抑揚はない。

叡智の雫の刃は、果たして呪いの王に届くのか。

呪術の腕を磨いては、壊せない壁に向かって攻撃を仕掛けるが如き日々。

報われるのは今日かと期待せずにいられないが、半ば諦めも入り交じる。



宿儺は杯を奪い取るように受け取ると、一気に飲み干した。


一瞬、彼の強靭な身体が強張り、四つ目が細められた。

肺の奥が凍り付くような感覚。

ゆめの毒は呪力の巡りを阻害し、反転術式による回復をわざと遅らせる。

身体の中で、氷の結晶が広がっていくかのような冷たさ。

それは、彼がほとんど忘れかけていた感覚――痛みに近い何かだった。



「……ケヒッ……良いな。心の臓が跳ねる。己が生きていることを、これほど自覚させてくれるのは、オマエだけだ」


宿儺の口元に、獰猛な笑みが浮かぶ。

彼は、この感覚を楽しんでいた。

ほんの少しだけの時間、毒に蝕まれる苦痛。それは、彼の退屈な人生の中にある、唯一の刺激。




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