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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第19章 【宿儺/コミュお題夢】氷霜の契り




主人のため、何者にも邪魔はさせない。

微かな呪力の気配に、裏梅は庵の外に立ち、静かに術式を放つ。


「氷凝呪法――霜凪」


彼の呟きとともに、大量の氷が出現し、広範囲を凍結させていく。銀世界がより一層白く染まり、静寂が深まる。


ふっ、と密偵と思わしき気配が消えた。

主のために最良の環境を整えたことを誇り、裏梅は満足げに一人微笑む。



庵の中では、小さな炉が赤々と燃えている。

薪が爆ぜる音だけが、静寂を破っていた。

炎の光が、二人の影を壁に大きく映し出す。

揺らめく影は、まるで生き物のように蠢いていた。



「術式順転――翠蓮滴(すいれんてき)」



ゆめは、自身の手首に鋭い爪を立て、一滴の鮮血を杯に落とした。

白い肌に、一筋の紅が走る。

痛みは、もう慣れたものだった。血は杯の中で、静かに広がっていく。


やがてそれは杯の中で淡い緑色に発光し、透明な液体に溶け込む。

芳醇な香りを放ちながらも、一滴で熊を倒すほどの猛毒を孕んでいた。

梅の花のような、甘く危険な香り。

嗅ぐ者を引き寄せ、冥界へ誘う。




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