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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第19章 【宿儺/コミュお題夢】氷霜の契り



宿儺の傍らには、いつものように白髪の従者が控えている。

忠実なる裏梅は中性的な顔立ちだが、鋭い眼光と隙の無い佇まいを鑑みれば、宿儺が唯一側に置くことを許した術師であることも納得できる。

彼の表情からは、何を考えているのか読み取れない。


その手には、丁重に包まれた何かが握られていた。

高価な絹布に包まれたそれは、おそらく宿儺が略奪してきたのだろう。



「ゆめ殿、これを受け取れ。宿儺様が『毒酒』を所望だ」



裏梅の所作は丁寧だった。腹の底ではゆめを快く思っていなかろうと、敬愛している主人を前では決してその素振りは見せない。

ゆめは自嘲気味な笑みを浮かべた。唇の端が、僅かに歪む。



「宿儺様ともあろう御方が、私の卑小な毒を欲するのですか。貴方様にかかれば、手に入らぬものはこの世にはございませんでしょうに」


「ほう。オマエは自分の術式の価値を、その程度だと思っているのか」


「呪いの王の御身体のため、特製の薬酒ならいくらでも提供しますのに」


「健やかに薬酒を嗜むために俺が来ると考えているとは……己の毒で頭が腐ったか?」



言葉の応酬をしながら、宿儺が歩を進める。

床板がミシリと鳴り、凍てつく空気が威圧で歪んだ。

彼の足音は重く、一歩ごとに庵全体が震えるようだった。


彼はゆめの顎を、節くれ立った手で強引に掬い上げた。




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