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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第19章 【宿儺/コミュお題夢】氷霜の契り




京の都から離れた里外れ。

ゆめは、鄙びた庵の縁側に座り、軒先から滴り落ちる氷柱を眺めていた。


長く、透明な氷の刃。

それは冬の日差しを受けて、儚く輝いている。

やがて陽が昇れば溶け落ち、夜が来ればまた凍りつく。

代わり映えのしない、平和な冬の景色。

だが、彼女の心の内を現すかのように、天は鈍色の重たげな雲に覆われていた。


京の都を包む冬の空気は鋭く、肌を撫でるたびに生命を削り取っていく。


遠くのほうで、鳥の声が神経を逆撫でする鋭さで響いた。




「また、あの人が来るのね」




――術式「碧毒蓮珠(へきどくれんじゅ)」


彼女の血は、術式の効果によって生成された毒を含み、ある時は五臓六腑を溶かす猛毒となり、またある時は死の淵から魂を呼び戻す霊薬となる。


呪力を体内で毒に変換できるからこそ、この世のあらゆる毒に精通していた。

生薬の知識にも長けた彼女は、毒によっては量次第で薬にもなると考え、研鑽を積んできた。

普段は里の人々を守るためだけに戦い、己の生成した毒を用いて薬を作ることもあった。


ゆめは、自らの掌をじっと見つめた。


この手で、どれだけの命を救い、どれだけの命を奪ってきただろうか。




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