第18章 白虎のお里に行ってみよう
「ま、大丈夫だよ。言い出したのは確かに綱手様だけど、策を練ったのは俺だから。これは綱手様からダンゾウ、ひいては上役達への嫌がらせってとこだよ。」
「…どういうことっすか?」
全然、言ってる意味が分からない。
「つまりは、こういうこと。偶々、禁書庫から白虎の巻物を見つけた綱手様は、千手の屋敷で内密に俺に渡す。任務と一緒にね。それを嗅ぎつけたダンゾウが綱手様を糾弾する。でも、それは禁書に見せかけたただの任務書で、逆にダンゾウを糾弾するって寸法。」
「…そんなの、上手くいくんですか?」
手こずる気がするけど。
「それが上手くいったんだな〜。」
「上手く’’いった’’?」
過去形?じゃあ…。
「今頃は、綱手様が痛み分けに持ち込んでるよ。」
「痛み分け…?」
益々分かんないってばよ…?
私を見た先生はくすりと笑う。
「そもそも、俺が受けた任務は、綱手様の独断で密命になるわけ。だから、極限られた人しかその情報を知らない、知られてはならないわけだ。」
「にも関わらずダンゾウに漏れたなら、奴の手下が側にいたことになる。」
私が千手屋敷にいたことが早々にバレたみたいにね。
綱手様の側にいて、ダンゾウに逐一情報を流した裏切り者が潜んでるってことだ。
「そ。そのダンゾウの手下を炙り出す為に、信のおける暗部で隈無く見張ったのよ。」
「でも、よく簡単に炙り出せましたね。」
「今まで見つからなかったっていう慢心もあったんじゃない?相変わらず内密のやり取りを千手屋敷でやってるな、っていう侮りもね。」
「あ〜、ダンゾウ至上主義ですもんね。んで、そのネズミはどうしたんですか?」
「泳がせてから捕らえたから、今頃、各自尋問されてるよ。」
各自って事は複数いたわけね。
いや、待って?