第18章 白虎のお里に行ってみよう
「泳がせた…?あぁ、わざと報告させてダンゾウを釣ったのか。でも、珍しい。ダンゾウってもっと慎重な奴だと思ってた。」
「ネズミと同じ心境だったんだろうね。綱手様は未だに気づいていないって。仮に気づかれても、禁書の持ち出しに比べれば大した痛手にはならないってね。」
「成る程ねぇ。」
「それに、こういうのはスピードがものを言う。その密告を元に、任務に出る俺を捕らえないと証拠が握れない。実際、問答無用で捕まったしね。」
「でも、密命の内容って私の手助けなんですよね?」
それを理由に、結局、難癖つけられるんじゃない?
「いや、手助けの事なんて書いてないよ。それに、特殊技法で書かれたものだから、解読には時間がかかる。けど、内容は押さえてるんだから乗り込む方が早い。ダンゾウはそう考えたんだよ。」
「任務書そのものが罠だったって事ね。」
任務書ってのは所謂、任務依頼書の厳重版。
大抵は、暗号で書いてあるか、今言ったみたいに一見白紙か別文かで、特殊な方法でないと中身が見れないようになっている。
これも場合によっては禁書扱いだから、一見判断がつきにくい。手元に取ってみて、初めて色々な判断ができる代物だ。
「予想通り、俺は牢に入れられただけで、ダンゾウは先に綱手様の所へ乗り込んでいった。上役も一緒にね。同時期に’’暗部’’による解読が済んで、それが綱手様、ダンゾウ、上役が揃った所に持ち込まれた。任務書にはお前の追跡のことにしか触れていないし、白虎のことなんて一言も書いていない。」
「‘’暗部’’ってことは、綱手様直轄と根の合同?」
「そ。」
「何で根だけで解読しなかったんですかね。単に間に合わなかった?」
昔から、捏造は割と見かけた気がするけど。