第18章 白虎のお里に行ってみよう
水の国でも、これまた端の端。
地図には載ってない、忘れ去られた大陸。
湯気はあちらこちらからもくもく出ていて、そこら中は黄色に染まった岩だらけ。
苔や草があるにはあるけど、申し訳程度に少し見えるだけ。
「水の国ってこういう大陸多いんですかね?」
斬不斬さんの隠れ家といい、鬼鮫さんの故郷といい、知られてない所ばっかり。
「いや、ここは水の国でもないよ。強いて言うなら雷の国に近いね。けど、雷の国でもないよ。」
「へぇ、そうなんだ…。」
そう言って納得しかけたけど、んん?って考え込んだ。
「…待って待って?何で火の国が雷の国の隣のこと知ってるの?っていうか、禁書でしたよね?それ。どこから持ち出したんですか?」
同じ禁書でも多重影分身とかは図書館の禁書で、閲覧&持ち出し禁止ってくらいの制限だけど、この巻物は違う気がする。
厳重保管のものは、火影直轄の禁書庫に置いてある。
「白虎の棲家を知ってるのは先人達の努力の賜物。巻物は勿論、禁書庫だよ。綱手様が持たせてくれたの。」
「…マジか。それ、綱手様は大丈夫なんですか?」
「多分、平気だよ。」
どこまでものらりくらりと言う先生に、こっちが段々不安になってくる。
「ちょっ…と…。それ、今からでも戻した方がいいんじゃ…。」
いくら里のトップだっつったって、上役からの目はあるし。
上役がその気になれば大名を動かせるし、大名の権限を行使すれば、綱手様を御役御免にしてお咎めまで付けられる。
綱手様のことだから、火影をクビにされたくらいじゃ痛くも痒くもないだろうけど、それでもこんな事で経歴に疵を入れるのは…ちょっと…。