第2章 辛い過去
両親が離婚し、お父さんが居なくなってからお母さんのイライラは募るばかりだった。
最初はお母さんがイライラしているのは『忙しいから』だと思っていた。しかし、原因はそれだけではなかったのだ。
離婚してから4日目、ボクはもう1つの原因に気がついた。それは、『離婚しても尚、断ち切れない(元)夫への怒り』。
離婚しても尚、お父さんヘの不満や怒りがちらつくお母さんは、段々とそのやり場のない怒りをボクに向け始めた。
最初の頃はボクを汚く罵った。ボクが何かする度に「そんな事も出来無いの!?」「あんたなんかの親で恥ずかしい!」・・・そう喚きたてては、ボクをまるで汚れたものを見るような目つきで睨んだ。
・・・そんなお母さんをいつも見ていたボクは、少しでもお母さんの負担にならないようにと自分に出来ることなら何でもやった。
だけどお母さんは更にボクを汚いものを見るような目つきで罵るのに加え、暴力まで振るう様になった。
ボクが母さんに話し掛ける度、ボクの腕を引っ張っては腕や足を蹴りつけ、ボクが足音を立てて歩く度、顔を殴りつけた。
そして自分の気が済んだら捨てるようにボクの体を床に押し付けるのであった。
外へ出ても人の視線が突き刺さって痛い。その人達が見ているのは、ボクの体にある『傷』だと分かっていた。
それ故、外にもあまり出なくなったボクを、お母さんはこれでもか、という程痛めつけた。
その暴力は日に日にエスカレートしていき、最近はカッターナイフでボクの足を斬りつけてくるようになった。
ボクに暴力を振るっている時、お母さんは笑っていた。こんなにもお母さんが笑っているところをボクはこれまで見たことが無かった。
ボクの足を、腕を、顔を殴っている時の母さんはとても幸せそうだった。
でもやっぱり、痛い。いたい。イタイ。
殴られた所が、罵られた心が、奪われた権利が。
その全てが暗い絶望となってボクを飲み込んだ。