第2章 愛の罠
「今回のことで恩返ししたいですし、後に予定とか合う日とかにそこに書いてある番号に連絡してください。」
既婚者といつまでもこうやってラブホにいるわけにもいかない。
だが、先程の酔っている状態、そして暗めのバーで見ていた顔よりも格好良い、というより綺麗な顔に見えた。
帰りたいけど帰れないような。
数秒間見つめあってしまった。
やすさん、歌としても売れているだろうけど顔も良いからファンがいるんだろうな…。
「そんな顔で見ないでください」
ハッと我に返る。”ごめんなさい!”と謝り携帯で時間を確認するふりをした。
「あ、あの、私の方が年下なので、敬語使わないでください。」
突然言うのだからやすさんもびっくりしただろう。
でも明らかに私の方が年下なのだ。敬語使われるのは違うと思ったから。
「じゃあみずきさんも、その”やすさん”っていう呼び方やめませんか?もちろん敬語も。」
「私に対しての敬う部類の…その”さん”付けもやめてください。」