第2章 愛の罠

「あの…お名前は何でしたっけ…私物覚え悪くて…」
「Acid Black Cherryのyasuです。あ、芸能関係に興味がないんでしたっけ…。本名は林保徳といいます。呼ぶときは「やす」で良いですよ。」

かしこまって話すやすさんに、この人本当に根は良い人なんだな、と思う。
先程のこと謝らなければ。

「やすさん。こんなとこまで運ばせてしまってすみません。それから私多分名乗ってませんよね…」
「そうですね…でも大丈夫ですよどうせ今回きりです。」
「いや…あのバーに通う限り会いますね…」
「そうか…そうですね。(笑)」

私は軽い自己紹介をする。仕事帰りにそのままあのバーに行ったものだから良いものがある。

「あの…名刺です。こんなところで渡すっていうのもどうかと思いますがごめんなさい。」
「良いんですか？」