第2章 反論さえ呑み込んで
一護の彼女・美穂子は、一般的に言うとお金持ちだ。
親がここ空座町を含むいくつかの町の地主と言うこともあって、大きな敷地に住んでいる。
お小遣いは欲しいだけもらえるし、高校に入ってからは自室という名目でマンションの一室も手に入れていた。
一般人である一護からすれば、漫画やドラマの中で語られるような次元の話で、いまいちピンと来ないが。
ただ、一人暮らしのように使える美穂子の部屋は重宝するのも事実だ。
育ち盛り…いや、若さいっぱいの一護の年齢なら、恋人と何の躊躇もなくイチャイチャできる空間の確保はなんとも嬉しい限りで。
今日も一護は学校の帰りに美穂子の家(部屋?)へと押しかけることにした。
「美穂子、いる…………、あ?」
マンションのエントランスから玄関までのセキュリティは美穂子から渡されている一枚のカードで素通りして、一護は玄関のドアを開けた。
美穂子の存在を確認するための声は、目の前の物体を前に止まってしまった。
いや、正確には理解できなかったと言うべきか。