第4章 息も止まるくらいに
私が渋ると、一護は手に持っていた野菜をぽいっとキッチンのほうへ放り投げた。
と、同時に。
私はすっぽりと一護に抱きしめられた。
「男が、お前の下着とか…ありえねぇ。お前にとっちゃ使用人で、別に気にしてねぇのかも知れねぇけど」
俺は我慢できねぇ、と続ける一護に…私は小さくため息をついた。
「-…わかった。交渉はしてみる…よ」
「………」
「え、一護!? …んっ」
私の返事に、一護がぴくりと眉を動かすと。
私の唇に、強く自分の唇を押し当てた。
…まるで息すらも呑み込むように、激しいキスが…。
「あ…っ、い、いち…ご……っ」
息が絶え絶えになりながら、一護を見上げれば。
そこには苦しげな一護の顔。
ドキっとした。
「交渉、絶対成功させろよ…」
ぼそりと呟いた、一護に私は息を乱したまま顔を上げた。
熱っぽく…それでいて、ちょっと苦しげな一護。
「―…美穂子」
名前を呼ばれて、されたキスは…さっきのような奪うようなものじゃなくて。
ドキドキして、私は無意識に息を止めた。
近づいてくる一護の吐息を感じて。
ちょっと冷たいはずの一護の唇は…さっきのキスのせいか、とても熱くて。
チュ…というリップ音すら…なんだか、心臓が破裂するほどに緊張する。
一護とのキスをしながら、私はちらりと時計を見た。
さて、いつ…交渉しようか。
彼氏が気にしてる…といったら、どうなるかな?
家族に筒抜けになるだろうなぁ…と、一護の腕に抱かれながら家族の反応が想定できて…内心でため息をついた。
END