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Forever [気象系BL]

第3章 櫻×大 1


-櫻井side-

マネージャーくんと話し終えて
楽屋に戻ろうと歩き出すと
智くんが身支度を終えて通路の真ん中で
立ち竦んでいるのが見えた

「..?....智くん?」

振り返って驚いた表情で俺を見つめる智くんは
額に汗を滲ませながら俺の名前を辿々しく呟いた

名前を呟く唇は震えていて、
彼自身の躰全体も小さく震えていた
震えを悟られない様、
必死に抑えようとしているみたいだけど
バレバレだ...

「智くん? どうかしたの? ひどい汗だよ?」

顔を覗き込むと智くんは焦った様に目を逸らして
何かを鞄にねじ込んだのが見えた

この震えはあれが原因なのか?

「今の..なに?」

智「..へ...? な,にが..?」

ほら、頑張って惚けてるみたいだけど
動揺が隠しきれてないよ..智くん...

「鞄になにかしまった様に見えたんだけど..なに?それ」

智「..え?....しまってなんか,ない..よ...?」

「..でも...いや,うん俺の見間違いだったかも..ごめんね」

これ以上問い詰めたところで、ここまで頑なになった
智くんはより、自分の殻に閉じこもってしまうだけだろう

「智くん」

智「ん? どしたの翔くん」

「やっぱり..具合悪い?」

智「心配しすぎだよ?..大丈夫...元気だから...」

嘘つき...
大丈夫なんて微塵も思ってないでしょ?

「智くんこの後なんかある? 仕事はもうないでしょ?」

智「特に...ないけど..」

「じゃあちょっと楽屋で待ってて?」

なんだか今日は智くんを1人にしちゃいけない気がして
とまどいながら、不安そうな智くんを楽屋に押し込み
智くんのマネージャーくんに今日は俺が一緒に帰る事になったと
伝えて先に帰る様に促した

幸いにも、今日は自分の車で来ていたし
智くんには悪いけど無理やりにでも俺の家に連れて行こう

あの状態の智くんを家で1人きりにする事なんて
とてもじゃないけど出来ない
それは単なるエゴだと言われればそれまでだけど
とにかく今は彼を1人にさせたくなかった

帰ろうと楽屋で待っているであろう智くんへ伝えに行くと

「あ..れ...?」

そこに智くんの姿はなく、妙に胸騒ぎがした
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