第3章 櫻×大 1
-大野side-
翔くんに背中を押す様に楽屋へ連れ戻されて
ここで待ってる様に言われた
やけに真剣な顔つきで言うものだから反射的に頷いてしまった
翔くんが楽屋から出て行って数分後...
廊下側から人の気配がしたかと思うと
ドアノブが動いたから翔くんが来たのかとドアに近寄った
するとドアを開けて楽屋に入って来たのは翔くんではなく
スーツ姿の男だった...だれ..?
男「智...お待たせ...」
「..ぇ...?」
男から遠ざかる為に後ずさっても
出入り口は男の後ろにあって逃げたくても逃れない
俺の名前を呟きながら近付いてくる男は
荒い呼吸を繰り返しながら不気味な笑みを浮かべていた
恐怖がこみ上げて呼吸がしづらい...
「だ..れ...ですか...」
男「ひどいなぁ、ず〜っと見守ってきたのに」
「ずっと..?」
男「うん それにさっき手紙だって渡したじゃないか、見てくれたでしょう?」
「手紙...」
あの封筒の事を言っているんだ...
この人があの封筒を...?
男「俺からの愛を再認識してくれたでしょう?」
「..愛...って...」
男「ふふっ まぁいいや移動しようか...ここだとあいつが来ちゃうだろうし」
「...あいつ?」
男「今日だってあいつが智に纏わり付いてて目障りだったんだよ」
「もしかして....翔くん?」
翔くんの名前を口に出した途端、
男の顔から笑顔が消えた
男「そいつの名前を出さないでよ智,乱暴な事はしたくないんだ...さぁ、来るんだ。おいで」
急に手首を掴まれて全身に鳥肌が立ち、慌ててその手を振り払った
「やめてっ...ください..」
ピタッと動きを止めた男にホッとしたのも一瞬だった
男「二宮くん..可愛いよね」
「は..?」
男「俺は別にいいよ?二宮くんでも...可愛く鳴いてくれそうだ..」
「な,に...言って..」
男「どうする? 来る? それとも...来ない?」
「..行きます...」
男「そう? よかった..」
ニノの名前を出してくるなんて最低だ...
こんな奴の言いなりになんかなりたくない..
でも、こいつの言う通りについて行く事しか出来ない俺は
黙ってその背中を追いかけて
促されるままに使われていない一番奥の楽屋へ入っていった