第3章 櫻×大 1
-大野side-
楽屋での帰り仕度も終わって
送迎車の用意をしてもらおうとマネージャーを
探しに廊下に出ると、翔くんと話している
マネージャーが見えた
2人はなんだか深刻そうな顔をして話しているのに気づいて
近寄ってもいいのかと立ち竦んでいると
後ろから誰かに押された
「あ、すみませ...?..」
元々廊下のど真ん中に立っていたのは俺だし
当たってしまったのを謝ろうと振り返ろうとした時
後ろから伸びた手が俺の持っているトートバッグに
封筒を入れたのが見えた
封筒を入れた相手を確かめようと振り返ってみたけど
そこにはセットの片付けをしているスタッフ達が
行き交うだけだった...
不審に思いながらも封筒の中身を確認しようと
開けるてみるとそこには....
「..こ...れって..」
封筒の中には、最近のであろう俺の写真があった
家の近所を歩いてる写真、画材を選んでる写真、
釣具屋で会計をしている写真など...
どれもドラマで見る様な隠し撮りアングルだった
いくつかある写真とは違う手触りの紙もあった
そこには "智愛してるよ すぐに迎えに行くからね"と
書かれた紙がある
その下にあるもう1枚の写真には、
勃起状態の男性器が大きく写る写真があった
「なんだよ...これ...」
迎えに行くって..なに?
違和感の正体が本当にストーカーだったとしても
女だと思ってた。
それに、性別がどっちであれ危害を加えられた事はないし
きっと大丈夫だと思って...
この封筒は明らかにさっき入れられた物だった...
...って..事は...この封筒を入れた人は局の中に居るって事で..
外部の人が局に入って来た? それとも..局の関係者...?
な..んで..?どうして...?
恐怖に支配された脳内と躰は上手く動いてくれない
櫻「智くん?」
「..っ...しょ..くん...」
櫻「智くん? どうかしたの? ひどい汗だよ?」
心配そうに顔を覗き込んでくる翔くんから目を逸らして、
手に持っていた写真や手紙は翔くんの目につかない様に
急いで鞄に入れた