第72章 乞い願う、光を求めて
鼓動とは別の何かが脈打つような……
瞼を開くと舞山の体が仄白く光り始めた。
何だ、これは……
「荒御魂(あらみたま)、幸御魂(さきみたま)、和御魂(にぎみたま)、奇御魂(くしみたま)。四魂の像(かたち)を整え、彼の者に神通力を戻し給え!!」
唱え終わるや否や、白藤の体は気が抜けたように両膝を着いた。
「はぁ……」
「白藤さん、無惨は……どうなってるんですか……」
「………舞山様は、これから私たちの力になって、下さいます……」
だって彼は……
今私達の目の前で、鬼ではなく、龍の加護を受けし者としてその力を取り戻したのだから。
舞山の背後から黒龍が躍り出ると、そのまま道満を目掛けて龍がその顋(あぎと)を開く。
「黒龍……」
「黒い龍が不吉だと誰が言い始めたのでしょう……彼はちゃんと、私たちを見守ってくれているというのに……」