第72章 乞い願う、光を求めて
「術式展開 藤の加護 二色(にしき)!!」
薄紫色と白の花弁が白藤を取り囲むように舞う。
現在使われている藤の加護は藤の紋様の出ている者の怪我の身代わりであるが、同じ効果ではないだろう。
ふうと一つ息をついて、白藤は朗々と歌うように唱え始める。
「一つお山のてっぺんに、二つの星が落ちてきて、三匹の鬼がやってきた。
酒は四升、桃は五つ。
月が雲から顔出して、照らした泉に六匹蛙。
皆口々に歌い出す。
神楽舞う贄の娘の齢は七つ。
神に召します、八つの音色。
ことほぎ交わすは、帝の御前。
十の灯篭、火は断つな。
鬼は眠りて、丑寅の、戻橋にて今帰りこん」
初めて聞くはずの数え歌。
だが、舞山は瞼を閉じ、耳だけでなく、感覚を研ぎ澄ます。
波動とでも言うのだろうか、舞山は自分の中で何かが脈打つのを感じた。