第1章 せめてこのぬくもりを俺だけのものに/ゲーデ夢(TOW2)
「本来俺は消えるはずだった。なのにここにこうして存在する。十分おかしな話だろ」
「なら、私にだっていえることだよ。グラニデの危機は去ったのに、まだ私はここにいる」
「お前には、お前を必要とする人間がいるからだ」
他でもない、このバンエルティア号にいる、ディセンダーの仲間たちが。
「俺には、いない。なのに、」
なのに存在してしまうんだ。
そう続けたかった言葉はディセンダーに押し当てられた手によって封じられた。驚きに開いた目には悲しげな、そして不満そうな顔をしたディセンダーが映る。
「それってさ、」
凛とした声が耳を打つ。
ディセンダーは優しい。どうしようもなく優しいのだ。
「私がなっちゃいけないのかな?」
だから、こう言ってくれるのを期待して俺はどうしようもないと分かっていることを言ってしまったのだろうか。
「ああ、こんなこと了承を得てなるものでもないよね……」
するり、と口許にあった手が頬へ移動する。その感覚にぞくりと背中が震えた。
「ゲーデ、私があなたを必要とするよ」
絡まる視線。臆することなくその口から出された言葉に再び震える。それは歓喜というものか。喜びに身体が、心が震えている。
俺は狡いのだと思う。
本当は存在意義などどうでもよかった。
ただここに俺がいる。それが何よりの意義だからだ。
それでも。