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短編ごった煮

第4章 願わくばその瞳と永訣ならんことを/レフィ(ルミナス3)


目が見えない、とそんな言葉が聞こえてきたのは保健室のドアをノックしようと手を持ち上げた瞬間だった。
ヴァレリ教官……いや、ヴァレリを倒し一度はこのウルガルドを去ったグレン先輩を連れ戻した張本人ことレフィさんが帰ってきたその時、彼には意識がなかった。そのレフィさんが目覚めたのだとフラン先生に聞いたのはつい数分前で、迷惑だろうかとそんな不安を持ちつつも何より彼の安否をこの目で確認したくなりこうしてお見舞い、というか押しかけじみたことをしたのだった。
そして私は聞いてしまったのだ。
彼の右目は、その意味をもう成していないのだと。

ドクリと、心臓が嫌な音をたてた。ざわざわと血が巡る。ノックするために持ち上げたはずの手はそのまま口へと添えられ、膝ががくりと揺れ沈み込む。立ってとそんな私の命令を無視して座り込んでしまう身体。落ち着かなきゃと思えば思うほどうるさくなる心音。相反する感情と身体はそれほどまでに衝撃的だったことを物語る。

ただの。ただの負傷による、最悪の結果だ。

本当はその事実に悲しまなければいけないはずなのに私の頭を占めるのはそんな願望じみたものだった。本来ならばたとえ無意味なことだとしても無傷なことを願ってその事実を拒むだろうに。
失明したのは傷を受けたからだと。そうであって欲しいと。

そう思ったのは、きっともう彼が「私たち」とは違うものになってしまっているんだと、予感していたからだろうか。

「っ……」

浮かんだ自分の考えに唇を噛む。
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