第49章 闘いの終わり
甘「本当に…腕の良い方なのね。……杏ちゃんのおかげかなぁ。伊黒さんも、お願いしますね。」
珠「お任せください。できる限り、多くの人を助けます。」
その言葉を聞いた甘露寺は小さく微笑んで伊黒を見る。
甘「ねぇ、伊黒さん。私、あんまり役に立てなかったよね。ごめんね…。」
甘露寺からポロッとこぼれた弱気な言葉。
そんな彼女へ伊黒は堪らず口を開いた。
伊「そんな事はない。頼むからそんな風に言わないでくれ。……初めて会った日の事を覚えてるか?」
甘「うん…。伊黒さん…お館様のお屋敷で迷った私を…助けてくれた…。」
甘露寺の言葉に対して、伊黒は首を横に振った。
伊「違う…逆だ。あの日会った君があまりにも普通の女の子だったから俺は救われたんだ、」
従姉妹に罵られた言葉がずっと伊黒の心を苦しめ、その呪縛から女性に恐怖心を抱いていたあの頃。
甘露寺との些細なきっかけが、彼の心に大きな変化をもたらした。
甘「些細な事ではしゃいで、鈴を転がすように笑い、柱になるまで苦しい試練もあっただろうに それを少しも感じさせない…。君と話しているととても楽しい。まるで自分も普通の青年になれたようで幸せだった。きっと、他の皆も同じだったよ。底抜けに明るく優しい君はたくさんの人の心をも救済している。胸を張れ。俺が誰にも文句は言わせない。」
そう言って、優しく微笑む伊黒。