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【金カム】黄金スナック【短編集】

第5章 ①明治トリップ女子、最強の狙撃手に溺愛される【R15】


清洌な朝の森。
和栗が寝てから交代で見ていた焚き火は、ゆるゆると白い煙を出して消えようとしていた。
まだ薄明の空にさえずる鳥の影を、尾形は岩に腰掛けながらぼんやりと目に映す。
背後で布の擦れる音がして、杉本が目を覚ました。

「・・・さみぃ」

厳しい寒さに身を縮めていた杉本だが、不意に柔らかな温もりが肌に触れ、心臓が跳ねると同時にその場に硬直した。
和栗が寝返りをうち、自分の胸元に顔を埋めていた。
視線を落とし乱れた襟元から覗く首筋を見てしまった瞬間、いたたまれなくなって、耳の先まで真っ赤に染まる。

「なっ・・・」

やばい近い。近過ぎる。

幸い杉本が尾形に背を向ける体勢だったので、まだこの状況は見えていないはずだ。
急いで何とかしなければ。でもどうやって?

「何をしてる」

岩に腰掛けていた尾形が、肩越しにこちらを射抜くような視線を向け、いぶかしげに問いかけてきた。

「違う、これはその……!」

必死な形相で弁解しようと、杉元は額に大量の汗を浮かべて固まった。
杉元の慌てぶりもどこ吹く風、和栗はとろけたような声を出し、再び温もりを求めて身をよじった。

「よせ、頼むから……」と震える声で懇願する杉元の方へ、尾形が岩から音もなく腰を上げた。

「・・・ほう」

至近距離まで歩み寄った尾形はわずかに目を細め、目の前の「惨状」の正体を完全に把握した。

「いい身分だな、杉元。」

尾形はそう吐き捨てると、杉元にすがりつく彼女の脇に手を差し入れ、無慈悲なほどあっさりと引き剥がした。
和栗は横抱きにされた浮遊感で薄らと目を開けると、すぐ目の前に尾形の顔があった。
彼女はまだまどろみの淵にいた。
夢の続きを見ているようで、その近さに自然と笑みがこぼれる。
安心感に身を委ね、彼女は猫のように尾形の衣服に柔らかな頬をすり寄せた。
杉元が魂が抜けたように硬直している横で、尾形はあくまで冷徹な仮面を崩さない。
しかし、腕の中の彼女が寄せる吐息、はだけた襟元から覗く白い肌の眩しさに、「……まずいな」と内心で毒づくほど、彼の内側では静かに、だが抗いようのない熱が鎌首をもたげていた。
そんな内心を微塵も感じさせず、固まったままの杉元の目の前で、尾形は見せつけるように、彼女の乱れた襟元をその細い指でゆっくりと整え始めた。
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