第5章 ①明治トリップ女子、最強の狙撃手に溺愛される【R15】
「冷える」
短い一言の後に、結局尾形も横になった。
さっきより温かくなったが、結果。
「狭いです!」
杉本が笑う。
「守られてる証拠だ」
尾形は横になりながら、自然な動作で和栗の背にそっと手を回す。
「……尾形さん」
「敵が来たら起こす」
近距離の中、歩兵銃はしっかりと前に抱いている。
安心と緊張が混ざる。
反対側の杉本も遠慮がない。
「和栗さん」
と呼んで、額に軽く触れる。
「……何かあったら、俺を先に呼べ」
謎の対抗心むき出しで、尾形の腕がわずかに強まる。
「必要ない」
「あるだろ」
「ない」
和栗が眉間に皺を寄せる。
「……二人とも…寝られません」
ドキドキし過ぎて、とは言わないでおく。
「あ、ごめん」
杉本が申し訳なさそうに軍帽を被り直す。
寝る時も帽子を取らないらしい。
彼の本体とでも言うように。
小さく息を吐いた尾形の腕は離れない。
そろそろ心臓が限界だ。
けど…あれ…?
なんか、あったまってきた…かも…?
火の粉が弾ける音を聞きながら、自然と瞼が閉じていく。
「ん?和栗さん?」
そっと背中に話しかける杉本に、尾形がシッと言った。
和栗の肩が、規則正しく上下にゆっくり動いていた。
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一方その頃、現世。
自動ドアが開くと、三人同時に身構えた。
「オオイ!扉が勝手に開いたぞ!?」
白石が一歩下がる。
「そんなに驚くな白石。
両側から誰かが扉を開けて、私達を迎えてくれただけだ」
始めは警戒したアシリパも、何も起こらないことに安堵した。
「ニビ……ンコ?」
谷垣が上の看板を読んで困惑する。
「違う、コンビニだ。」
常丸要太はハァとため息をつきながら眼鏡を直し、訂正する。
まさかアシリパ達のトリップ先が、和栗の勤務先なんて夢にも思わないだろう。
助手と入れ替わりのように、閉院した歯科医院に入ってきた彼ら。
数日前から面倒を見ているが、はて、いつまで続くやら。