第5章 ①明治トリップ女子、最強の狙撃手に溺愛される
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しっとり暗くなった森。
岩陰に腰掛け、ぱちぱちと焚き火が鳴るのをぼんやりとみながら、和栗はこの世界に来た時のことを思い出していた。
私が来るまで一緒だったという、白石とアシリパさんは大丈夫だろうか。
無事を願うばかりであるが、あの2人なら平気かもという気持ちも実はちょっとあった。
杉本、尾形と和栗の三人は円を描くように座っていた。
「さて」
杉本が腕を組む。
「どう寝るかだな」
和栗の心臓が、嫌な予感で跳ねる。
尾形は無言で歩兵銃を手元に置く。
いつも通り、寝る時もすぐ取れる位置。
「俺は外の端でいいから、和栗さんは真ん中ね」
杉本が言うと、尾形が薄く笑った。
「却下だ」
「なんでだよ」
「俺が最短で動ける位置にいた方が良いだろう」
「それなら俺でもいい」
「射撃は俺の方が速い」
にこりとした尾形のこめかみには、青筋が出ている。
おっかなびっくり、和栗が小さく手を挙げた。
「えっと……」
二人同時に見る。
「ん?」
「何だ」
圧、すご。
「……私が外端じゃダメですか」
「ダメ」
「却下だ」
ハモった。
「俺らに挟まれる形が一番安全だよ。
尾形、お前も背後壁の方が良いだろ。」
杉本が当然のように言う。
尾形は渋々壁に寄りかかると、自分の横に移動しようとしてきた和栗をちらりと見る。
「俺の視界に入る位置にいろ」
「え、尾形さん寝ないんですか?」
「目は閉じても気配は拾う」
さらっと言うな。
結局、外に面している焚き火を背に、配置は——
左に杉本。
右に尾形。
和栗真ん中。
距離ちっかい。
杉本が先に横になる。
「寒くない?」
と言って、ためらいなく自分の毛布を半分めいにかける。
ふんわり、鉄みたいな匂いがした。
近い。肩が触れる。
「あ、和栗さんだと足がちょっと出ちゃうのかぁ…」
「だ、大丈夫です、充分あったかいですよ!ありがとうございます……」
とはいえ、ただの強がり。
いくら下に葉を敷き詰めたとはいえ、床から深々と冷えてくる。
その反対側にいる尾形が、静かに自分の外套も和栗の上に重ねた。