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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第110章 魔王の霍乱


「はぁ…何かと思えば…そんなことなの?」

城門前でのやり取りを促されるままに話し始めた朱里を黙って見ていた家康だったが、落ち込んだ様子の朱里とは反対に呆れたように眉を顰めた。

「そんなことって…私、信長様に避けられるなんて思ってもいなかったから戸惑っちゃって…しかも、信長様だけじゃなくて秀吉さんにもなんだよ?あぁ…ううん、今思えば秀吉さんだけじゃない、皆に避けられてたかも…って、そんなことってある??私、知らない内に何か嫌われることしちゃったのかなぁ…」

自惚れているつもりではなかったが、信長様はいつ如何なる時でも私を受け入れてくれると勝手に思い込んでしまっていたからか、突然理由も分からず距離を取られたことがひどく心に堪えたのだ。

「別に嫌われたとかそういうんじゃないと思うけど…嫌で避けたんじゃなくて、あんたのために近付かないようにしただけなんじゃないの?」

「……え?」
(私のため?それ、どういう意味だろう…?)

「あの、家康、それってどういう意味?」

「信長様達は今日は一日中、病が蔓延する村にいて患者にもたくさん触れてる。そんな身で安易にあんたに触れて万が一病が感染るようなことになったら拙い…そう慮ったんじゃないの?感染力が強い病らしいし、感染源もまだよく分かってない。何がきっかけで感染するか分からないからね。夏場なら、そこら辺で水浴びでもして身を清めてから帰って来られるんだろうけど、この寒さじゃそれもできなかっただろうし…今頃は皆で仲良く湯浴みでもしてるんじゃない?」

「そう…なの?」
(私を気遣って避けてくれた?そんなこと…考えもしなかった。私ったら、自分のことばかり考えて勝手に落ち込んで…)

「あんたは聡いくせに、そそっかしいところがあるから…あの人も余計なことは一切言わない人だしね。まぁ、そういうところがあらぬ誤解を招くんだけど…」

「っ…じ、じゃあ、全部私の勘違いってこと?どうしよう、家康。私、信長様に素っ気ない態度取っちゃった…」

「それはお互い様でしょ?気にすることないよ。あんたは今、自分ができることをやればいい。ほら、時間ないんだからさっさとやるよ」

「家康っ…」

(そうだ、悩んでても仕方ない。今は少しでも多くの薬を作って、病に苦しんでいる人に届けないと…)


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