第70章 親友(青峰大輝)
部活が終わってロッカー室に向かう時、隣の男バスのコートに目が行く。
ガシャン、と激しくなるゴール。
青峰がダンクを決めた音だった。
額から流れる汗
楽しそうな顔
そんなの見てたらおかしくなる。
ロッカールームに戻っても、さっきの映像が目の奥に焼き付いていて。
「みんな先にあがって。シャワー浴びて帰るから。」
「分かりました!」
シャワー室に入って、すぐに頭からシャワーに当たる。
心地よい水音に、気づけば目から温かいものが流れていて。
「…何これ」
それは止まることを知らなくて。
気づきたくないフリをしながら、ただシャワーに当たっていた。
どれくらいシャワー室にいたのか、外はさっきよりだいぶ暗くなっていて。
ロッカールームの鍵を閉めたときだった。
「随分遅かったな」
「…青峰」
もう帰ってると思ったのに。
「もう少し遅かったら入っていくとこだったわ」
「…変態」
「おい、随分な言いようだな龍ヶ崎」
「うそうそ、ありがと」
「あぁ」
青峰と帰る帰り道。
今までどうやって話してた?
何話してた?
何を話せばいいかわからない。
ただ、2人並んで帰る帰り道が私にはかなり遠いように見えた。
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青峰side
中学からずっと一緒で。
馬鹿みたいな話で盛り上がって。
あてもなく俺が電話しても、相手をしてくれて。
青峰となんて絶対ありえない、なんて言うから
俺も願い下げだって言った。
恋愛感情じゃないはずだった
もしかしたら気づきたくないフリをしていただけかもしれない。
俺自身が強くなっていったとき、周りの連中は傷物に触れるみたいに離れていったのに。
龍ヶ崎だけは、違った。
ダルかった部活も、龍ヶ崎のお陰でよく顔出すようになった。
時々見せる龍ヶ崎の寂しそうな顔に、俺はもう、止まってはいれなくて。
どこかに行ってしまう前に、つなぎ止めたくて
彼女の細い指に自分の指を絡めていた。