第15章 期末テスト
「八百万!何でもいい、常に小物を創り続けろ。創れなくなったら相澤先生が近くにいると考えろ。この試験、どっちが先に相手を見つけるかだ。視認でき次第俺が引きつける。そしたらお前らはゲートへ突っ走れ」
「「…」」
焦凍に、負担多すぎ…これじゃ、私達は何も…できないじゃない
「それまで離れるなよ」
それから定期的に二人は会話をしていた。私は病み上がりのせいか、焦凍についていくので精一杯だった。
八百万は常にマトリョーシカを創り続けていたが、なくなったことに気がつく
「八百万、マトリョーシカは…?」
「来るぞ!」
「すみませ…」
「と思ったらすぐ行動に移せ」
焦凍が舌打ちして攻撃を仕掛けようとするがイレイザーにどう考えても消されている。行け!と指示されたが私は咄嗟に近くの家の敷地内に隠れた。跳ね続ける心臓を落ち着ける。焦凍を、助けなくちゃ…
(…流石に無理して助けに行くことはしなくなったか…多少学んだな。さて、どこに行ったものか…)
ちゃんと私を見失ってくれたのか。背中向けられてる時だったし…
イレイザーが向こうに行ったのを確認しマキビシを避けつつ拘束を解く
「おい、奏!ゲートに突っ走れって言ったろ!」
「そんなの、無理だよ。ゲートの位置はわからない。それならやれるだけやったらいいんじゃない?言っちゃ悪いかもだけど八百万の個性だけで100勝てるかって言われたらそうでもない。途中で捕まったら絶望的でしょ。そんな捨て身じゃ駄目。1番勝つ確率が高い方法が絶対にあるの」
「なんだ、それ」
「…私は思いつかないけど、八百万ならきっと、いや絶対思いついてくれるよ。だから早く助けに…」
八百万がイレイザーに追いかけられながらこっちに向かってきていた。
「八百万!何か、あるんだよな?悪い奏に言われて気がついた。何かあるんだよな!?」
「でも…轟さんの案でも通用しなかったのに、私の考えなんて…」
「いいから早くしろ!そういうのはお前の方が適任だって言ってんだ!学級委員決めた時お前二票だっただろ!一票は俺が入れた!そういう事に長けたやつだと思ったからだ」
八百万が泣きそうな表情になりながらマトリョーシカを大量に投げる
「お二人とも目を閉じて!」
ギュッと目を瞑る。瞼越しでもわかるほどの光が、イレイザーを襲った