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私だってヒーローに

第12章 私にできること


目を開ける。体を起こそうとすると、重みが邪魔をした。下半身にもたれ掛かるように私の手を握り寝ているのは、焦凍だった
「おや起きたのかい」
「…焦凍はどうしたんですか…?」
「結果発表が終わったあと息切らせながら来てそのまま寝ちまったさ」
「…結果は…」
「あんたは3位。オールマイトに直接渡してもらえないけど、アタシから渡しておくよ」
手に握らされたのは、銅のメダル。焦凍は、優勝したのかな…
そんな思いで焦凍の顔に触れる。暖かいような冷たいような、変な感じだった
「んっ…」
「あ…起こしちゃった?」
目を擦りながら起き上がる焦凍。そしていきなり、抱きついて来た
「悪ぃ。俺、お前の許容量気づいてなくて…」
「私、あの許容量に遭ったの初めてなの…焦凍のお陰、気がつけた」
抱きついてきた焦凍の頭をそっと撫でる。
「エッホン!続きは帰ってからやんな!」
「あ、すみませんすぐに帰ります!」
焦凍が私の鞄を差し出してくれて、受け取る
「ありがとう」
失礼しました、と保健室を出ていく
「指名とかは、2日後発表だとよ」
「…そっか。焦凍は何位だったの?」
「…2位だ。俺は、精算しなきゃなんねえものがある」
「精算?」
「…お母さんに、会いに行く。」
「…そっか」
「お前も紹介してえ。最初だけ待っててくれんなら、一緒に行かねえか」
「わかった。何があっても行くよ」
その後、焦凍が語ってくれたのは…
お母さんのことだった
焦凍が5、6歳のころ、お母さんの精神が限界を迎え、焦凍の目に煮え湯を浴びせたらしい。幸い失明はしなかったが一目見ただけでもわかる火傷跡をついてしまった。その時私が言ったのは
「…同じだね」
だった。驚いた焦凍が聞いてきて、腕の極薄タイツを破った
「…リストカットってわかる?」
「…あぁ」
「あれのね、跡を隠すのを使ってる。これね、お父さんとお母さんを見殺しにした敵につけられたんだ」
炎の個性持ちだった。自身が水を出せると言うことに気づいてなかった私は治療が遅れ痛々しい跡として残った。
「私、焦凍に勇気づけられた。これ、つけないで生活してみる」
「…おう。なあ、早速明日行こうと思うんだが…最初の挨拶見てえなもんだ」
「…質素?それともお洒落?」
「…お前の好み」
「うん、わかった」
そう言って微笑んで…キスした
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