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私だってヒーローに

第12章 私にできること


控え室廊下に入るところから、緑谷と焦凍の試合をボウっとするように眺める。
「なんだ、歌の方は使わないのか」
「…!?」
いつの間に…ていうか、なんで歌の方…!聞こえてた…?
「…これ以上あの個性を使えば、声が枯れるので。使いたいけど、使えないんですよ」
「それでも無理をするのが普通じゃないのか」
「…これはあくまで催し物。イベントです。本番ならわかりませんよ…」
「皆、本気で取り組んでいる。とは言ってもお前とアレ以外だがな」
「…私は、確かにまだ本気じゃないですよ…出す意味もない…」
どうせ、特別監視体制として入学しただけにすぎない。卒業後はプロヒーロー入りなんてしない。2択に1択。焦凍の元に嫁ぐか、皆の前から姿を消して、一人で生きていくかの、現状は2択だけど…可能性としては、後者の方が強いだろうな
「…その余裕…気に入った」
「…はい?」
「卒業後はアレとともに雇ってやろう。あいつの下にでも…」
「そうやって貴方は、自分の願望のために焦凍を利用する…それにまだです。焦凍は侮れない…私の本気が見たければそこで本気見たけりゃ出しますよ」
「見てみろ。あいつは、右を使わないと子供じみたことを言って、何かに諭されればすぐに使う。ただの子供だ」
「…右…」
指差してる先。緑谷が何かを叫び、それを聞いた焦凍が、右を使った。
焦凍を、救ったってわけ…?
「…綺麗…」
「俺の個性だ」
「違います。ふざけないでくなさい。確かに貴方から引き継いだものはあります。けど、炎も氷も、焦凍が持ってるんです。貴方のじゃない。焦凍自身も、焦凍の個性も」‎
「…変なやつだ」
「…焦凍、進んだ…私、もう失礼します。次なので」
焦凍の個性で冷やされた空間が、いきなり暖められて爆発した。それに緑谷が耐えきれず吹っ飛ばされた。
…ここで勝ち進めば、私は焦凍と対立する…

『ヒーロー科塩崎茨!対!ヒーロー科古率奏!START!』
「君の個性、茨なんだよね?草?」
「…言ったところで、どうにもなりません」
「ふふ、駄目でしょ?それは、否定ではなく肯定…本当でも、嘘つかなきゃね!」
伸びてきた茨に火をつける
「っ、何!?」
「燃えてるの。君の髪の材質は、草なら燃えるでしょう?」
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