第12章 私にできること
焦凍の試合だけは見たいと走って観覧席へ行く
「お、来たきた、轟の嫁〜」
「試合始まる直前に来るなんて流石やね!」
「…うん」
さっきから、エンデヴァーさんの言葉が頭で反転して、頭が回らない。集中しなきゃなのに、私は…
「奏ちゃん!?」
「え、あ…何?」
「もう試合終わったよ、そろそろ向かった方がええんやない…?」
「ごめん…ぼーっとしてて…」
頭を振って、控え室方面へゆっくり歩いた
「焦凍…?」
「…奏…」
酷く悲しそうな、怒っているような。とりあえず不機嫌そうな顔をしていて、思わず抱き付いてしまった
「…エンデヴァーさんと、話したの。凄く怖かった…けど私、は…」
「何だ…?」
「…焦凍から、皆の前から最悪、消えるって、言っちゃったの…」
「…お前の導き出した答えなら…仮にそうなったとしても、俺が見つけてやる…」
「…待ってる」
そう言って、入り口に行った
『4位連続の地味な優秀さ!ヒーロー科古率奏!対!ザ・中堅って感じ!?ヒーロー科飯田天哉!』
指先に力を込めて…まだ慣れてないから集中…
『START!』
「レシブロ…バースト!」
「あっ…!?」
初っ端から強すぎ…!
「すまない、君の強さを尊敬しているからこそなんだ…!」
マフラーにそっと触れ、凍らせる
「!?何!?」
『は?個性?は?』
「具現化。手の平一回りサイズの物だったら、頭に思い浮かべたものを“なんでも”具現化できる。焦凍の個性を借りたわけ」
「な…氷を具現化したというのか…!?」
「正解。とはいえ、焦凍みたいな大規模なのは不可能だけどね」
建物を丸々凍らせるのは、流石に無理だ。炎なら1箇所着火しただけでどうとでもなるが…
他に使えそうなのは、麗日のくらいだと、正直思う