第1章 私は
最初の授業はイレイザーヘッドの授業だった。体力テスト。個性ありの。特に何もしていないが、強いて個性を使ったところと言えばソフトボール投げの時。ロケット花火つけて飛ばしたくらい。それで36人中5位。他の記録も普通の人より出てた自覚はある。
放課後。イレイザーから呼び出し喰らって教室で本読んでいた。二人くらい男子生徒が残っている。私には関係ないから無視だが
「お前、何の本読んでんだよ。朝から」
金髪の不良系の男子。
「それは俺も気になる。教えてくれ」
と赤と白の髪が真ん中で別れているオッドアイの男子。
「…推理小説。」
「面白いのか?」
「…面白くないなら読んでない」
「そりゃそうか。何てタイトルだ?俺も読んでみてぇ」
後から来た奴が話しかけてきて集中できないので一旦本を閉じ、そちらを見る
「…シャーロック・ホームズ」
「俺も聞いた事あるぞ。あ、俺は轟焦凍だ。お前は?」
「…古率奏」
「奏か。よろしくな」
「…勝手にして。」
「連絡先交換しねえか」
「どうぞ」
と携帯からメールアプリのQRコードを出し見せる。それを使って友達申請してきたのを見て携帯を仕舞おうとすると余分に一つ追加されたことに気がつく
「…何やって…って本当に何やってるの。人の本読まないで」
振り返ると、不良が勝手に私の本を読んでいた
「安心しろや。しおりはそのまんまだわ」
「そういう問題じゃ…もう勝手にしてろ」
轟が凄いこっち見てるから諦めよう
「で、何か用あるの?轟は」
「いや、そこにいたから」
「理由もうちょっと凝れば?」
そう言ってしばらく、轟が考え込む
「…焦凍」
「は?」
「焦凍って呼んでもらうために来た」
初対面相手に何言ってんだこの人。でも多分こういうタイプは名前で呼ばないと気済まないだろうし…
「チッ…焦凍、これで呼んでたらいいの?」
「ああ、頼む」
「はいはい。で、あんたは?」
と不良の方に向き直る。名前くらいは聞いておこう
「爆豪勝己。勝己って呼べ」
「は?なんで私が…」
「いいから呼べって言ってんだよ」
そうキレ散らかし本は丁寧に私の机に置いて鞄を持って消えていった
「…何しにきたんだあの人…」
「俺もわかんねぇ」