第8章 私を捨てないで
「…でも、親を見殺しにした後、全く話しかけられなくなったから…もう、いないのかなって思ってた」
「…それで、今更出てきた…ってことか」
「でも…どういった条件で出てくるのか、まだわからないけど…勝己が、気に入ってる可能性あるよね」
「なんでだ?」
「勝己と遊び、断ろうとした辺りから頭痛がしたから…」
耐え難い頭痛が、乗っ取られる前兆…?
「私の意志で、勝己と付き合ってない…私は焦凍が好きって、気付いたから…」
「…!」
焦凍が驚いた顔をする。けど続ける
「私が付き合うとしたら、焦凍なのに。でも、三月は…勝己と付き合ってるんだよね。私は焦凍と付き合いたいけど、三月と勝己を私が引き離すのは可愛そうだよ…」
「なら、爆豪にも教えてやればいいだろ。信じてくれるかわかんねえけど」
「…そうだよね」
「まぁ、先ずは風呂だな。汗やばいぞ」
「……」
下をみると、下着が透けてる
「…見た?」
「それ以前に汗拭くために何回か脱がせたぞ」
「じゃあもう服変えておいてほしかったなぁ…」
「無茶言うな。人の服脱がせんのムズいからな。しかも寝てるやつ」
「…そういえば私どれくらい寝て…」
「4日」
「4日…!?」
「自分の弾に撃ち抜かれたのをリカバリーしてもらったのとただ単に疲れてたやつらしい。まぁ俺等がバスで行ってたところお前走って来たしな」
「あの道バスだったのね…それは長いわ」
「怪我人はさっさと風呂行くぞ」
「えわっ!?」
「なんだその声」
姫様抱っこというものをいきなりされ、間抜けな声を出して焦凍に笑われる。女の子なら絶対にこうなるって。そのまま脱衣所に行く最中、冬美さんと鉢合わせる
「あ、起きたのね!良かったわ!」
「すみません、なんか迷惑かけたみたいで…」
「大丈夫よ!焦凍、どこに連れて行くの?」
「風呂。脱がせるところもやるから誰も入ってくんなって言ってくれ」
「わかった」
脱がせるところもやる…?
「しょ、焦凍ストップ!まさか女の方入る気じゃ…」
「おう。気づいてねえかもだけどお前、腹のとこ包帯巻かれてんだからあんま動かすなよ」
「Oh…」
「元気ならいいけどよ。傷口開かれても困る」
「あれ、銃って傷口開くとかあるんだ」
「いや、銃弾取り除くために手術してた」
「今度お礼しなきゃ」