第4章 チューリップ(越前)
「リョーマ、お疲れ様。」
「お疲れ様。それじゃ帰ろっか。」
部活が終わりリョーマと肩を並べた帰り道。
私達は最近付き合い始めたばかりだ。
3年生が卒業して私達の学年が上がったばかりの頃リョーマから告白をされた。
そんな態度を見せたことなんかなかったので正直驚いたが、私もリョーマの事は気になっていたので告白を受けることにしたのだ。
家も近く、私がテニス部のマネージャーをしていることもあり付き合い始めてからほぼ毎日一緒に帰っている。
「あっ、そう言えばもうすぐ母の日だよね。」
「そだね。何かあげんの?」
「やっぱりカーネーションかな・・・。ちょっと見てもいい?」
帰り道の途中にある花屋さんの母の日の幟を見て思い出した。
花屋さんにはカーネーションの花束や鉢がたくさん置いてある。どんなものがいいか少し見ているとリョーマが奥に入っていったかと思ったら出てきた。
入る前と違うのは手にリボンのついた赤いチューリップを持っていたこと。
「リョーマ、チューリップ買ったの?」
「うん。まきは決まったの?」
「大体の目星はつけたよ。また今度買いに来る。」
「ふーんじゃあ行こっか。」
今日のことを話ながら帰っているとあっという間に家の前についた。
「じゃあリョーマまた明日ね。」
「ねぇ・・・これあげる。」
「さっきのチューリップ?私にくれるの?」
「うん。あのさチューリップの花言葉って知ってる?」
リョーマがチューリップを差し出しながら聞いてくる。
チューリップの花言葉?急にどうしたんだろう・・・。
「分かんない・・。リョーマなんなの?」
「declaration of love.」
「へっ?な、なに?」
「気になるなら自分で調べてみてよ。じゃあね、」
英語でなにか言ったと思うとあっさりと帰ってしまった。
ラブなんとか?
すごく気になる。
リョーマを見送ると家に入り着替えもせずにパソコンの前に座った。チューリップの花言葉を検索し、ヒットしたいくつかのサイトを開いてみた。
チューリップ・・・・・愛の告白
私は顔が赤くなるのを感じた。
(リョーマのバカ・・・。)
fin