第2章 いつの日か(跡部)
長い時間揺られていたような気がしたが無事に撮影場所に着いたようだ。
「おはようございます。モデルの跡部くんと古村さんですね。女性はこちらに男性はあちらにお願いします。」
「それじゃあとでね。」
「ああ。」
まきの背中を見送って男性モデルの部屋に入った。中学生は俺たちだけらしい。周りは俺様たちより年上のようだ。
ただ負ける気はしねぇな。
スタイリストに声を掛けられ男たちは同じデザインの白いスーツを渡された。
「今回の企画はウェディングドレスの新作発表なので男性の方は同じスーツになります。」
スーツに着替えると俺様たちは外の教会の前に集められた。
女の方はまだ少し掛かるらしい。
「跡部。」
後ろからあいつの声がして振り向く。俺様は目を見張った。
「ああ、よく似合ってる。」
どうして今日が楽しみで仕方なかったのか、今ようやくわかった。
俺様はこいつのことが好きだ。
ウェディングドレスを着たまきが見れる。だから無意識に楽しみにしていたのだ。
「!あ、ありがと。跡部もカッコいいよ・・・。」
こいつのこんな一言でこんなにも浮かれることが出来るなんて、考えたこともなかった。
「写真撮りまーす!!」
他のモデルたちがバージンロードを歩いている写真を取ったり、ブーケトスをしている写真を取ったりした。
「この教会ほんとにきれいだよね。私将来ここで式挙げようかな・・」
隣で独り言のようにまきが呟いた。