第2章 いつの日か(跡部)
休み時間になるといつも騒がしいあいつが・・・今日は珍しく席に着いていて大人しい。
後ろまで行き、覗き込んでみた。
「なんだ?ブライダルモデル・・・。お前応募するのか?」
もしかしてと思って聞いてみるとまきは驚いたあと慌てて首を振った。
「あ跡部!?まさか!!相手もいないのに、ちょっといいな~って思っただけよ。」
「それにしちゃ、真剣に見てたな。なぁこれ俺様と出てみるか?」
ただの気まぐれだったが我ながらいい考えだと思い、提案してみる。いつもなら何言ってんだと返されるところだが今日は違った。
「えっ、いいの?あっでも当たらないかも。」
「ああ。当たらないかどうかは分からないだろう。」
5組という少ない枠だったがなぜか当たるという確信があった。
それから1週間後。練習が終わり家に着いたときタイミングよく着信が入った。
ディスプレイに出ていたのはあいつの名前だった。
「もしもし、」
「もしもし跡部!!当たったのよ」
「あーん。当たったぁ?何がだ」
当たったと聞いたらモデルの話だとすぐに分かったが、わざと聞き返した。
「もう!!わかってるくせに・・ブライダルモデルよ!今日ハガキが届いたの。」
電話越しのまきは至極楽しそうに話をしている。
俺様は時々相槌をうちながらあいつの話を聞いていた。
「ちょっと跡部聞いてるの?それでね日程なんだけど、今週の日曜日。大丈夫?」
「ああ、聞いてる。日曜な分かった。」
あいつとの電話を終え、柄にもなく日曜を楽しみにしている俺様がいた。
家にいても、テニスをしていても、生徒会の仕事をしていても考えるのは日曜のことばかり。
「どうしちまったんだ、俺様は。」
そして日曜日がやって来た。昨日の夜車で迎えに来ると言うとあいつが電車でいきたいと言い出した。
そのおかげで俺様は朝から人の多い電車の中で立たされている。
「いつまで立ってりゃいいんだ。」
「あと10分くらいよ。男なんだからグチグチ言わないでよね。」
長い時間揺られていたような気がしたが無事に撮影場所に着いたようだ。