第4章 瞬間記憶力【過去編】
「っ、何処行ったんだよッ!!…あ、先生!悠見なかった!」
「悠くん?そういえば園庭の方に歩いて行くのを見かけたわよ。でもこの雨だから外には出てないはずだけど…って、新一くん!?」
他の部屋もトイレも探し回っても悠の姿が見つからず内心かなり焦ってる最中に見かけた先生に何処かで見ていないかと問えば園庭の方に行ったと聞き、まさかこの雨の中外に?と先生の名を呼ぶ声も無視して園庭へと急ぐ。
「はぁ、は…っ…っ!?悠ッ!!」
『……?し、ん…いち…?』
「っ、ば…バカッ!こんな雨の中何やってんだよ!!風ひくだろ!…ほら、部屋戻ろうぜ?」
まさかとは思ったのだが園庭に到着するなり視界に入った小さな姿に自分が濡れることもおかまいなしに悠の元へと向かって腕と掴み、その手の体温の冷たさにまるで死んでるのではと錯覚してしまいそうになり早く中にと促すもいっこうに動こうとせず、そんな彼の感情を失ってしまったような瞳に胸が苦しくなってしまう。
「………蘭から話は聞いた。ちなみに俺が無理矢理聞いたようなもんだから蘭の事は責めるなよ」
『…………』
「俺はお前じゃないから気持ちを全部解ってやることはできない……けど、その苦しみを少しでも理解してやりたいって本当に思ってる。……俺にとってお前は…その、初めてできた親友ってやつ…だから…』
そんな俺の言葉をただ静かに聞いていた悠の瞳から一粒の涙が流れるのを見て堪らずぎゅっと身体を抱きしめた。