第3章 思わぬ救出と出会い
風呂に入りながら今日一日のことを振り返ると凄く濃いものだったなと湯船に浸かって思い出し、自分を助けてくれたあのイケメンは一体何者だったのだろうか。
眼鏡の男の方が年上に見えたがイケメンに対して敬語で話していたのを考えると仕事上の上司になるのだろうことを推測し、一般人にしては慣れたような身のこなしだったのでサラリーマンや事務職ではないはず。
『……そうなると答えは……(警護関連、または警察関係)……ま、考えたところで無意味か。どうせもう会うことはないだろうし』
そう呟く俺は当然知る由もない。今から数ヶ月後に彼と思わぬ再会を果たすことになるということに。
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『ふぅ…サッパリした。新一、何か飲むか?…新一?』
濡れた髪を乾かしてから部屋へと入る際に声をかけるも返事がないことに不思議に思ってドアを開けると母さんが敷いてくれた布団の上で本棚に置いてあった推理小説を読んでいる姿が見え、その集中力に自然と笑みを溢してから自身もこの間蘭に借りた一冊の雑誌を取り出してベッドに横になって読み始める。
「……!(ヤベ、いつもの癖で読み耽るとこだった。そういや悠は…)……?何読んでんだ?」
『…ん?何だもう読み終わったのか?…コレは蘭が貸してくれたんだよ。少しは最近の流行りとか知っとけ、ってな』
「や、まだ全部は。…何だ?最近人気のパンケーキの美味しい店やおススメの喫茶店特集…って、まさに女子が好きそうな内容だな。…お前もこういうの興味あるのか?」
『続き気になるなら貸してやる。…んー…興味ってほどじゃねーけど、甘い物は普通に好きだし…人気あるってなら一度は食べてみたいかも』
「いいのか?んじゃ借りる。…そういやポアロでよくジャンボパフェを二人で食ってたよな…。見てて胸焼けしそうだったぜ…。…でもまぁ…なんだ、お前が行きたいっていうなら…付き合ってやってもいいけど…」
『おう。…って、いいのか?新一ってこういう場所苦手だと思ってたけど…』
いつの間にか小説の本を閉じてベッドの端に腰かけていた新一に一度視線を向けてから自分が見ていた雑誌を見えやすいように横にずらしてやり、それを覗き込む姿を視界に入れつつ少し気になったパンケーキ特集に関して付き合ってやると言ってきた新一を意外そうに見上げた。