第2章 幼馴染
ピピーーッ!!
新一が何本目かのシュートを決めると同時に響き渡る試合終了の笛の音に走っていた足を止め、完全勝利したBチームは互いにガッツポーズをとっており、Aチームはその場に項垂れてしまいかける言葉もない。
「クソ―ッ!!やっぱ勝てなかったぜー!」
「へへ、今日の昼飯はお前の奢りな!」
何やら賭けをしていたのか昼食をタダで食べれると喜ぶ奴と盛大に溜息を吐き出す相手に苦笑いを浮かべていると、近づいてきた新一へと顔を向けて再度ハイタッチを交わす。
『お疲れ、新一』
「おう、悠もお疲れ。やっぱお前と組むサッカーは楽しいぜ」
そんな新一の言葉に俺も同じだと笑み浮かべて返ぜば嬉しそうにするその表情にこんな時間がずっと続けばいいのにと思わずにはいられなかった。
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体育の授業を終えて着替えを済ませれば待ってました昼食の時間。運動したせいで余計に感じる空腹に今日は何処で食べるかと考えていると教室にやってきた幼馴染の姿。
「よ、飯食いに行こうぜ。今日は何処で食う?天気もいいし屋上でもいいよな」
『そうだな。なら今日は屋上で食べるか。…ほら、新一の』
「お、いつもサンキュ!!悠の弁当マジで美味いからすげえ助かるぜ」
『一つ作るのも二つ作るのも大差ないからよ。んじゃ、さっさと行くぞ。食べる時間なくなっちまう』
鞄の中から取り出した二つの弁当。今現在海外に行ってしまっている新一の両親から食事の面で気が向いた時にでも面倒を見てあげてほしいと頼まれていて、料理自体は嫌いではないので了承の意を告げるとめちゃくちゃ感謝されたっけ。…有希子さんのハグは窒息死するかと思ったが…。
とまあ…そんなこともあって学校がある時はこうして昼食の弁当を新一にも作ってきてるというわけだ。