第23章 17歳
「あぁ、確かに直した方がいいね。あんなの頭の上に落ちてきたら死亡案件だわ」
今にも落下しそうに見えた立体機動装置がきちんと整頓されて、ペトラは納得したようにうなずいた。
「ね? 逢引なんかじゃないでしょ?」
「……でもマヤが落ちそうになってた立体機動装置をなんとかしようとしてたのと、兵長がここにいたのとなんか関係あるの? というか兵長はなんでここにいたの?」
ペトラの問いにマヤは困る。
「さぁ…、わからない」
「じゃあさ、マヤの方は逢引じゃないと思っていても兵長の方は違ってるとか? たとえばマヤがここにいるって知って追ってきたとか?」
勝手にとんでもない仮説を立てるペトラに少々あきれる。
「もう、ペトラったら! そんな訳ないでしょ」
「じゃあ兵長はここで何をしてたのよ」
「………」
「マヤのあとにここに来て、脚立から落ちそうになったマヤを助けて出ていったんでしょ?」
「うん、まぁ… そうなるね」
「……ってことは、マヤと会うのが目的っぽくない?」
「そうとは限らないよ」
「なんで!?」
「だって私を助けてくれて、今からここに来た理由の何かをしようとするところだったけれど、団長が呼んでるって言われたから出ていったんだと思うよ?」
「……そうかなぁ」
何故だかペトラは不服そうだ。マヤは話題を変えようと試みる。
「ペトラはここに何か用があったの? それとも兵長を呼びに来ただけ?」
「あっ うん、私はさっきモブリットさんに “兵長を知らないか? もし見かけたらエルヴィン団長が呼んでるって伝えてほしい” って言われたの。それでそのあと、新兵の子たちが “兵長が倉庫の方に行った” みたいなことを話してるのが聞こえてさ、暇だったし来てみただけ。会えたらラッキーかなってノリで」